結局、実際の現場ではどうやってアセスメントして看護に生かせばいいの?と思っているあなた!
今回は、「痛みのアセスメント方法」について学んでいきましょう
これまでの記事を読んでていただいている方は、より理解が深まると思います
これから解説するアセスメント項目を意識しながら患者さんと関わることで、看護の質をレベルアップさせましょう!
看護師によるアセスメントの重要性
看護師は患者の生活に一番近い存在
- 看護師は24時間患者と密接に関わっている
疼痛の状況や変化を把握できる(苦痛をキャッチできる)
鎮痛薬の効果や副作用の発現を把握できる
痛みが日常生活に及ぼす影響をアセスメントできる
痛みを全人的苦痛の観点で様々な側面からアセスメントする
患者の立場に立ったチーム医療の調整ができる - 痛みのアセスメントの前提
※患者の訴えを信じること!!!
初期アセスメントと継続アセスメント
~初期アセスメントの目的~
- 痛みの原因を確認し、痛みを評価する
- 鎮痛治療の選択
- 薬剤の選択・投与量・投与経路の検討
- 投与タイムスケジュールの決定
- 併用療法、ケアの検討
※アセスメントを行う時期
・入院時(痛みがある場合)、初回の介入時
・麻薬導入時
・新たな痛みが出現した時
痛みのアセスメント項目
痛みの部位
- 全ての部位について確認する
・がん患者では複数の部位の痛みを持っていることが多い
・内臓痛では離れた体壁に痛みを感じる
・関連痛の可能性もある
・身体図を用いて記入すると良い
・神経障害性疼痛の場合、神経分布図を用いる - 痛みが出現する都度確認する
・その時々で痛みの部位が異なる場合もある
・2ヶ所以上ある場合は、どの部位の痛みに対してレスキューを使用したのかを明確にする
痛みの性質
- 内臓痛…鈍い、締め付ける、深い痛み
- 体性痛…疼くような、刺すような痛み
- 神経障害性疼痛…
持続的な違和感:しびれるような、突っ張るような、しめつけられるような
発作的な痛み:電気が走る、ピリピリするような、刺すような痛み
※部位と性質、出現のパターン
病態から総合的にアセスメントすることが大切
痛みの強さ
- 客観性を高めるためにペインスケールを用いる
・患者、看護師間の評価の差がなくなり、バイアスが少なくなる
・スケールで答えられない場合は痛みの有無だけでも良い
(必ずしもスケールは必要ではない) - 経時的に評価するためペインフローシートを用いる
・ペインマネジメントが促進される
・鎮痛薬、ケアの有用性を詳細に評価できる
・痛みの出現パターンを把握する
(鎮痛薬の切れめ、体動時、夜間…など)
ペインスケール
- 使用目的
・痛みを客観的に評価できる
・痛みについて患者と共通の認識が持てる
・医療スタッフの主観的な評価を防ぐ - 使用時のポイント
・痛みの測定が必要なのか患者に説明し理解してもらう
・スケールは痛みを持つ患者自身に測定してもらう
・患者自身が疼痛マネジメントに参加していることを意識づける
痛みのパターン
- 一日の中でいつ、どの程度痛むのか
痛みのパターンを知ることで、薬剤投与方法の変更などを考慮する - 持続時間
いつから痛みが生じたか、何がきっかけか、持続的か断続的かもアセスメントする
悪化因子と緩和因子
- 悪化因子:痛みが強くなる原因
動くと悪化する、食後に悪化する
悪化因子をできるだけ減らすようにする - 緩和因子:痛みが楽になるのはどんな時か
横になると楽になる、暖めると楽になる
※その人にとっての悪化因子・緩和因子を知り
緩和因子は看護ケアに取り入れる
日常生活への影響
- 活動の制約
ADL、仕事、家事、趣味 - 睡眠
痛みで入眠できない、痛みで眼が覚める - 食事
痛みで食事の姿勢が保持できない、食事をとると痛みが出る - 排泄
痛みでトイレに行けない、痛みで便座に座れない - 集中力の低下
仕事に集中できない、痛みで本や新聞などが読めない - 情緒不安定
痛みがあっていらいらする、悲観的な気持ちになる - 社会関係の変化
痛みで人と付き合うのが億劫になる、情緒不安定なため人間関係が悪化する
精神・社会・スピリチュアルな側面
- 精神的苦痛
うつ状態でないか、転移・進行への不安、今後の見通しが立たないことへの不安 - 社会的苦痛
家族関係、家庭内・仕事上の役割変化、経済的問題 - スピリチュアルペイン
生きる意味の喪失、痛みや苦しみに意味を見だせない
薬物に関連したアセスメント
- 薬物の効果アセスメント
鎮痛薬の効果を患者とともに繰り返し評価 効果が不十分であれば増量や変更の必要性について検討する - レスキューの使用に関するアセスメント
レスキューを使用するべきか、どのタイミングで使用するのかを適切に判断する - 副作用アセスメント
鎮痛薬の副作用をアセスメントし、副作用対策を検討 - 薬物の使用経路のアセスメント
- 個々にあった適切な使用方法のアセスメント
- 鎮痛薬使用に関する患者、家族の認識、理解のアセスメント
まとめ
今回は、実際のアセスメント方法について学んできました
アセスメントで大切なことは、患者さんの苦悩や苦痛を身体的な痛みだけでなくトータルペインとして全人的に捉えることが重要だと思います
患者さんの全人的苦痛を理解するためにはまず、患者さんの想いを傾聴することがスタートラインかと思います
忙しい業務の中で、なかなかゆっくり時間を取ることが難しいのも現状かと思います
一日の中で、少しでも立ち止まってまとまった時間を作って患者さんと関われる時間が持てると良いかと思います
ここまで読んでいただきありがとうございました
ではっ!
コメント